わが街わが里★heartful-sagamiのブログ

相模原は、神奈川県北部に位置する横浜、川崎に次ぐ人口72万人の政令指定都市で、丹沢山地と高尾山・陣馬山などの間に広がる相模川沿いの段丘平地からなる緑豊かで風光明美な土地柄であり、自然と共存する静かな居住環境を醸し出しています。この愛すべき“わが街わが里”を未来への懸け橋として、より良い街創りを提案します。

頓挫したBRT計画、「新交通システム」で蒸し返しの暴挙!【その3】

【3】なぜ住民は反対するのか?


地域の住民たちは、なぜ反対するのでしょうか?


これこそ、住民エゴのように見えるかも知れませんが、莫大な公共投資が必要な「新交通システム」の計画には、抜き差しならぬ数々の問題を孕んでいるからです。


 20年近くを費やして285億円という巨額の市税を投じる公共事業が、果たして地域発展のために寄与するのでしょうか。


 大体、この金額も土地買収などの数千億円に達する購入金額を含んでいないようで、意図的に過少評価していると思われ、総事業費は大幅に膨れ上がる可能性がありそうです。


 また、相模原中央区のJR横浜線橋本駅・相模原駅付近は7年後に、「リニア新幹線駅」が開業する予定です。


 いまや、この地区は、その話題に湧き、大規模な公共投資が行われています。


 南部の麻溝・北里・新磯地区の付近に存在する大学・企業は、20年後、大きな発展を遂げて通勤通学客は増えているでしょうか。


 第一、この地区には、観光地などは無く、観光客などの流入は見込めません。 


企業や大学の将来には盛衰もあり、少子化に伴って移動人口が先細りする可能性もあります。


 それに、速達性を目的に運行する高速バスは、当然、途中の停留所も少なくなり地域の住民には全く利便性が悪く利用者が限られます。


 まして、現在の相模大野駅から北里大学まで約6Km区間で200円を超える路線バス運賃から考えれば、高速バスの運賃は2倍以上に跳ね上がるでしょうから、7分~15分程度の時間短縮のために通勤通学客はまず利用する気にならないでしょう。 


ですから、高速バスは利用者の増加は見込めず、採算が取れる事業であるとは思えません。
また、バス事業者が運営するにしても、運行の赤字分は市税で補填する必要があるでしょう。


 そして、地域住民の生活は、道路横断や既存バスの減少などでますます不便になり、この住環境の悪化は、地域の過疎化に拍車をかけることになりかねません。


 通勤通学客の利便性を高めようとするあまり、住民の生活環境を悪化させて、地域の生存権を脅かすような改革は“愚策”以外の何ものでもありません。 


こんなまちづくりは、市民の誰も望まないはずです。 



【4】どうしてもBRTを導入したいなら…(私の提案)


 この「バス高速輸送システム(BRT)」導入計画は、地域の住環境を破壊するだけでなく、多くの利用者も望めない投資効果が悪い提案であることに疑いの余地はありません。 


それでも、この計画を推し進めたいなら、地域の住環境を破壊しない方法で、導入を検討するべきです。 


本当に地域住民の市民生活の利便性を考えたら、道路拡幅工事も最小限に抑えて“ミニ地下鉄”などの導入をを真剣に考えるべきでしょう。


 しかし、地下鉄を造るには、地中深くにトンネルを掘る必要があり、莫大な投資が必要です。


 ですから、“ミニ地下鉄”を取り入れるという意見が少ないのは、建設コストの問題と、完成までに長期間要するという難題が伴うことを誰でも承知しているからです。


さて、この現状の計画「新交通システム」にケチばかりつけて、代案を提示しなかったら地域の将来を何も考えていない“クレーマー”との謗りを受けかねません。 


そこで、必ずしも道路の拡幅工事を必要としない交通の効率化に向けた提案をしておきます。


 それは、“露天掘削による二階建て道路” を整備することです。


 露天掘削(露天掘り)なら、特殊な建設機械は不要であるし、工期の短縮に繋がり、建設コストも抑えられるはずです。


 つまり、現状の道路を4~5m程度、露天掘りして中央分離帯に支柱を立てて補強し、その上に蓋をしてしまえば、安価に「二階建て道路」が完成します。


 これなら、地表から掘り下げた一階部分は高速バスを通して、蓋の上面の地表部分(二階部分)は今まで通りの市民生活用の道路とすれば、一気に問題解決が図れるはずです。


 これを、少なくとも住宅密集地の多い相模大野から北里通りについて適用すれば、低コストで交通効率化に寄与する“革新交通システム”が完成するものと考えます。


 なお、一階部分の高速バスは、隔壁幅等の余裕から「軽量軌道交通(Light Rail Transit:LRT)」システムを導入するのが良いでしょう。


 現在の高々1万人程度を輸送するために、片側3車線の道路を建設する計画は、将来を通して、それほどの通勤通学人口の増加が見込めない地域ですから、明らかな過剰投資になります。


 この二階建て道路なら、道路拡幅のための土地買収も不要か2車線程度に抑えられ、現状の景観を維持したまま、高速バスを通すことができるのです。


 この“二階建て道路方式”が、地域の利便性を増大させ、公共投資の節約にも繋がる“一石二鳥の提案”になることを望んでいます。


重ねて言いますが、私は高速バス(BRT)の導入に反対ですが、どうしても導入したいなら、BRTが地域の道路を占有しないように、この“二階建て道路方式”などを取り入れ、住民の生活と共存する道を模索するべきだと考えます。




〔連載記事〕頓挫したBRT計画、「新交通システム」で蒸し返しの暴挙!
【その1】http://heartful-sagamin.muragon.com/entry/3.html 
【その2】http://heartful-sagamin.muragon.com/entry/4.html


頓挫したBRT計画、「新交通システム」で蒸し返しの暴挙!【その2】

【2】呆れるほどの大規模事業、まったくの愚策にほかならない!


既に「新交通システム」計画を推進する企てから、片側3車線(全6車線)の30m幅の道路として、県道52号線の拡幅のための土地買収などが進められているようです。


先行は、北里通りの相模原公園入口から相模大野駅に右折する若松小前交差点(文京)までの区間と、女子美術大学を通り運行予定のJR相模線原当麻駅前の造成工事などです。


つまり、県道52号線の道路規格の格上げ変更を理由にして、強引に計画推進の見切り発車をしているのです。

しかし、首を傾げたくなるのは、この若松小前交差点から100m先の国道16号線までの道路拡幅は未定で、16号との立体交差の話も出ていません。


ですから、計画区間の拡幅工事が完成しても、国道16号線までの渋滞解消にはつながりません。


それに、相模大野駅から文京を経由して相模原公園入口までの区間を30m道路に拡幅するための土地買収費用は、沿線の公示価格から勘案して1平方m当たり概ね20万円として区間1mにつき400万円(20m新規に拡幅)を要し、その距離が6kmともなれば、おそらく2400億円という巨額の資金が必要です。
この費用はどこが負担するのでしょうか。県道部分は県が負担するのでしょうか?


また、北里大学から女子美術大学を経由して、JR相模線の原当麻駅まで大型の高速バスを運行する計画も理解できません。

この橋本-厚木間を結ぶJR相模線は、未だに単線運転で1日の運行本数は60本程度で、1時間に利用者が多い朝夕に4本、昼間は2~3本しかなく、不便な路線なので乗降客も少なく閑散としており、当駅から現在運行中の路線バスの乗客もごく僅かです。


ですから、大量輸送と速達性を目的に計画された高速バスを、原当麻駅まで運行させる必要性など、どこにもありません。


また、JR東日本は、厚木-橋本間の複線化について、莫大な費用が必要なことから消極的で具体的な動きはまったくありません。


さらに、東名横浜・町田インターと八王子をつなぐ通過車両が多い国道16号線に匹敵するような、片側3車線の道路規格が、高々1万人程度の利用客しかいない市内の県道に果たして必要でしょうか。


どう考えても、こんな膨大な公共投資によって、片側3車線に及ぶ道路の拡幅工事を行い、地域住民の犠牲を払って高速バスを運行する必要があるとは思えません。


せいぜい、片側2車線程度に拡幅して、朝夕の乗客がピークに達する時間帯に1車線をバス専用レーンにすることで、十分に速達性が確保できるのではないでしょうか。


将来的にも乗降客が大量に増えることは考えられないので、この地域に馴染む交通手段は、片側2車線程度の道路整備で充分であり、BRT導入や30m道路は明らかに過剰投資となり愚策としか言いようがありません。



〔連載記事〕頓挫したBRT計画、「新交通システム」で蒸し返しの暴挙!
【その1】http://heartful-sagamin.muragon.com/entry/3.html
【その3】http://heartful-sagamin.muragon.com/entry/5.html 

頓挫したBRT計画、「新交通システム」で蒸し返しの暴挙!【その1】

【1】これまでの経緯と傲慢な計画


相模原市南区の交通網は、小田急線、JR横浜線、JR相模線で取り囲まれた三角地帯の中央地域に大学や病院、企業などが集中しており、このエリアへのアクセスは、バス路線か自動車、あるいは自転車などに頼らざるを得ません。


 しかし、このエリアへの移動人口が増えるにつれて、当然のことながら慢性的な道路渋滞が引き起こされ朝夕の通勤通学時間帯には、本来の所要時間の2倍以上に達することも珍しくないのが現状です。


 そこで、相模原市は、2009年に突如として、「バス高速輸送システム(BRT※)」の導入計画を発表しました。(※BRT:Bus Rapid Transitの略) 


この計画は、道路を拡幅してBRT(連接型バスなど)を通す専用レーンを設け、渋滞を解消して短時間で目的地への輸送を目指すものです。


 ところが、この計画が住民への説明もなく、唐突に発表されたため、市民生活への影響が大きい沿線の住民を中心に市の対応への不満が噴出して、反対運動が起こったのは言うまでありません。


 同年2月~6月までに、市民から寄せられた9300件の意見のうち、大半が反対意見で、特に件数が多かったのは「沿線の良好な住環境などを破壊する」「白紙撤回、全面撤回、計画中止を要望」「導入の必要性はない」といった意見でした。


 そして、何回か地元住民と話し合いが行われた結果、この計画は頓挫して再検討の余地を残すも中断に追い込まれた経緯があります。


 その後、住民の意思は反対であるにもかかわらず、むしろ住民の眼が届かない形で、何とかして計画を推進するための検討委員会が設置されました。


 検討委員会は、本来、利害関係にある住民多数を含むのが常識ですが、実際には計画推進派の利権絡みの人選が行われ、まちづくりに積極的な地元地縁団体の有力者、計画達成を手柄にしたい交通行政の担当者、計画立案に権威を添える学識者、得体の知れない公募委員などが集まり、住民の反対を封じる形で会合が重ねられました。


 そして、以前、猛反対にあった地域を迂回して「新交通システム」として、今年2月に市長への答申がなされました。 


この動向をみても、不支持の住民の意見を黙殺して計画を強引に推し進めるやり方には、この「新交通システム」導入計画の常道を逸した不誠実さがにじみ出ています。


             《米国のBRTの例》


〔連載記事〕頓挫したBRT計画、「新交通システム」で蒸し返しの暴挙!

【その2】http://heartful-sagamin.muragon.com/entry/4.html
【その3】http://heartful-sagamin.muragon.com/entry/5.html